『オリエント急行殺人事件』のトリックはずるい? ※ネタバレあり

※アガサ・クリスティ『オリエント急行殺人事件(オリエント急行の殺人)』をネタバレで紹介しますので、展開を知りたくないという方は読まないようにご注意ください※

オリエント急行はパリからイスタンブールまでをつなぐ国際寝台列車のことです。

1883年から運行され豪華なつくりで貴族や金持ちに多く使用されていた列車でした。

しかし、この名前を日本人が知るようになったきっかけは、アガサ・クリスティ作の『オリエント急行殺人事件(オリエント急行の殺人)』によってでした。

1974年に『オリエント急行殺人事件』は映画化され、当時の日本ではありえない、こんな豪華な列車があるのだとこの作品でオリエント急行は世間の人が知るところになるのです。

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お金持ちばかりが乗る寝台列車で殺人事件が起こる、これだけでも興味がわきます。

しかも大きなお屋敷や街中ではなく、寝台列車という密室での出来事です。

そのため犯人はオリエント急行に乗っている乗客に絞られます。

そして誰が殺人を行ったのかを追求する探偵は名探偵ポアロ、彼はアガサ・クリスティの殺人事件の物語に必ずと言っていいほど出てくる探偵です。

その彼が謎を解き明かすのですが、これが困難を極める作業でした。

一人ひとり尋問をしていきますが、容疑者全員には完璧なアリバイがあったのです。

犯人探しのほかにもポアロを悩ませるのが殺された被害者ラチェット本人の過去。

捜査の段階でラチェットの過去が洗い出されますが、彼は赤ん坊を誘拐して殺した犯人であったことが浮き彫りになります。

その犯罪に関しては彼は当時国外逃亡していたため罪に問われず、その後も堂々と大手を振って生きてきた罪深い人間だったことがわかってきました。

おそらく犯人はラチェットの過去の罪への復讐から彼を殺したとポアロは気づきます。

正義の元に下された殺人事件、ポアロは犯人を断罪することが出来るのか?

アガサ・クリスティは意外な犯人を作る名人です。

このオリエント急行殺人事件でも、それまでにない犯人を作り出しました。

さすがにその犯人をここにネタバレすることは控えますが、あまりに自由な発想のために彼女の描く答えを認められない人も多くいるほどです。

けれど、アガサ・クリスティが最初に大胆な犯人を描いたおかげでその後の探偵小説家は楽になったはずです。

こんな発想でもいいんだ、見る人たちが楽しみ驚かせればそれでいいんだと選択肢が広がったのです。

私などは映画を見た後に作品に興味を持ち、後で小説の「オリエント急行殺人事件」を読みました。

たとえ犯人がわかっていても、もう一度小説でじっくり読んでみたい。

そんな気にさせるのがアガサ・クリスティの魅力です。